steps to phantasien

にわか TOEIC マニア

foreign books

社内で開かれたワークショップ形式の研修に参加したのは一年前、ちょうど今頃のこと。 それはたぶんチームワークのような何かを学ぶ会だったはずだけど、 私の感想は本題と関係なく「いいかげん真面目に英語を勉強しないとあかん」だった。 話が通じないとチームワークどころじゃない。

米国資本勤めの会社員からすると、英語はグローバル云々以前に仕事用 DSL みたいなもの。 英語ができないまま騙し騙し働くのはたぶん、 SQL が書けなからと ORM の上だけでコードを書こうとするのに似ている。できなくはないけど、いろいろしんどい。 幸い私は Web 開発者じゃないから SQL はわからなくていい。でも英語はやらないとダメっぽい。 入社二年半、ようやく現実を直視した。

最初はしゃべる練習をしようかと思ったけれど、そもそもしゃべる以外の英語すらできるといえるのか。怪しい。 むしろまず典型的日本人として英語ができるところまでたどり着いて他のボトルネックを取り除き、 それから苦痛の元たるしゃべりを勉強しよう。そう考え直した。 日本人英語といえば TOEIC. あのスコアが十分なら「勉強してるけど実践能力のない日本人」として遠慮無くしゃべる練習を初めてよいのではないか。 このときスコアは 870 くらいだったので、まず TOEIC のスコアが 950 を超えるまで勉強しようと決めた。

でチマチマ勉強をはじめ、ほんとは半年くらいで達成したかったけど途中やる気を失いさぼったりした末、 先日ようやく無事 970 点、「実践能力のない日本人」ゾーンに入ることができた。めでたい。

会社でそんな話をしてもああ満点じゃなくて残念でしたね・・・ などとあしらわれ悲しい気持ちになりそうなので、ここにひっそりがんばった記録を書いておきたい。 といっても英語勉強法の類はよく書かれた資料が世の中に山ほどある。 私も自分のやり方が特段効率的とは思っていない。 だから特に新しい話はないし網羅的でもない。個人的な体験をぐだぐだ書くだけなので、 ちゃんとした勉強法の類を求めている人は本屋などをご利用ください。 あと TOEIC なんて役に立たないなどの主張はわかってやってるのでほっといてください。

挫折歴

英語をちゃんと勉強しよう。そう始めては挫けるループを、私は 10 年くらい断続的に続けている。 英語の得意な友達に請い、やり方を教わっては試していた。 彼のおすすめは大抵ディクテーション(リスニング書き取り)だったから、 私は勉強ムードが高まるとディクテーションをやる、そして数週間でくじける、を繰り返した。

今回はその反省をふまえ、挫折せず続けることを一番の目標とした。 ディクテーションの欠点の一つは負荷が高くしんどいこと。 勉強や訓練たるもの負荷はある程度必要だけど、耐えられる重みには個人差がある。 私の友達は訓練耐性がずばぬけており、やると決めたらダルかろうが飽きようが続けられる人だった。 でも私にそんな根気はない。もうちょっとゆるふわにしたい。

一歩下がって考えると、他人の勧めにただ従うだけなのも良くなかった。 訓練耐性や根性のような気質上の個人差もあるし、ベースの語学能力にも差がある。好みもある。 たとえばちゃんと受験勉強をした人はけっこう語彙がある。 私は大学受験は学校推薦という仕組みでパスしてしまったため、まじめに受験勉強をしていない。 だからたぶん語彙はない。音声や映像を重視する人もいれば、文章を読む方が好きな人もいる。私は後者。

身の丈に合う勉強法は人それぞれ違う。だからそれを探す手間はかけても割が合う。 そこで今回はまず 英語勉強法ガイドの本 を買って眺めるなどしつつ、 方法自体もいろいろ試すことにした。たださすがに TOEIC 固有の勉強をしても仕方ないので TOEIC と名のつく教材は無視した。 進捗の目安にしたいだけで、TOEIC 自体に習熟しても仕方ないからね。

と思ったらさっそく表紙に TOEIC ってかいてあるけど細かいことはいいんだよ・・・。

ちなみにこの本はそこそこ話題が豊富で見通しを立てる役には立った。 でも著者はテクノロジー頼みが弱く、面倒を根気で乗り切りがち。 あと考え方がシステマティックでないというか、プログラマっぽくない。(※プログラマじゃないから仕方ない。) 計算機の活用や手抜きのコツみたいなプログラマの得意分野は自分で工夫した方がよい印象。

iKnow!, English Grammer in Use, The Jingles

飽きない、くじけない、という基準で選定を勧め、最初は二つの教材を並列して進めることにした。 まずオンライン単語帳の ”iKnow!”. これは主にラクそうだからという理由。 もう一つは ”English Grammer in Use” という文法の教科書。 こっちは受験勉強をさぼった結果文法をわかってないのでは、という疑惑から。 教材二つを同時にやっているのは、いろんな練習を少しずつやる飽き予防の一環。

iKnow

まず iKnow. 一見すると総合英語学習ツールみたいにみえるけれど、コンテンツ付き単語帳と呼んだ方が実態に近い。 くじけないという基準でみると iKnow はよくできていた。ブラウザやスマホで動くからどこでもできるし、音声もついている。 主に昼休みの昼飯後、一日 30 分くらいちまちま進めた。

“English Grammer in Use” も一日 30 分ずつやったけれど、こっちは一ヶ月くらいで挫けた。 さすがに簡単すぎた気がする。やっていると眠くなる。細かい部分では新しい発見もあるけれど、全体的には高校英語の復習みたいで退屈だった。

“English Grammer in Use” に飽きたため、何か文法以外をやろうと ”ザジングルズ ” という発音の練習本に手を付けた。 以前同じシリーズの 簡単なバージョン を先の友人のすすめでやったことがあり、それなりによかった気がしたため。 毎朝一日 15 分くらい。間違えやすい子音や母音の入った短い文章を、リファレンス音声の真似をして発音する。退屈だけど負担は高くない。

ただこれも二ヶ月くらいでやめた。以前やったときほど上達を実感できなかったのと、このときは発音への関心が低かったせいもありそう。

K/H System, シャドウイング

“ザジングルス” に挫けて余った時間を何に使おうかとウェブや Amazon を物色したところ、 書籍 ”究極の英語学習法K/H System ” の評判がよい。私も読んでみた。 名前がうさん臭いので警戒していたけれど、乱暴にいうと「完璧にできるようになるまで同じ文章を何度もシャドウイングしろ」と主張する本。 主張に説得されてしばらくやっていた。毎晩 30 分とか、そのくらい。

この方法はそこそこ気に入った。教材 CD についてくるスピーチと transcript を練習するのは例のごとく一ヶ月くらいで飽きたものの、 暗記する勢いで繰り返しシャドウイングするやり方自体は効果があるように思えた。

まず、声を出すおかげで眠くなりにくい。だいたい勉強はネムいものなので、眠くならないのはありがたい。 あとシャドウイングできない部分を繰り返し練習するため、苦手なものを自然と重点的に鍛えられる。 そして同じ教材をしつこくやると段々スムーズにシャドウイングできるようになるから、すごく上達した気分になれる。 特定スピーチのモノマネがうまくなるだけなので体感ほど英語力がつくわけじゃない。 それでも上達した気分はやる気を支えてくれる。楽器で特定の曲を繰り返し練習し、その曲の演奏がうまくなるのに似ている。

方法論はいいけど教材には飽きた。そこで付属の CD は切り上げ、他の題材を探すことにした。 TED を探すと数分で終わる短いスピーチもあることがわかった。 (講演一覧をスピーチの長さでフィルタできる。) 何本か視聴し、気に入ったやつを題材に練習した。 お気に入りは Terry Moore による 変数名 X の由来. 一時期は X とスペイン語の関係を詳しく説明できるようになりました. すごいどうでもいいけど…

ついでに TED のサイトから transcript を切り出す手間を省こうと Gisted なるツールを作ったりもした。 これで transcript を切り出して Pocket に保存し、そのテキストをタブレットで見ながらシャドウイングする。

gisted

音声プレイヤにはもともとスマホをつかっていたのだけれど、途中から iPod shuffle に乗り換えた。 こまめに一時停止や巻き戻しをするシャドウイング中は物理ボタンが頼もしい。 タッチ操作に感じていた小さなストレスに気づいてしまうとスマホでシャドウイングしたくなくなる。 Apple 製品な割に値段も安くてよい。

時間は一日 30 分くらい、夜にやったり朝にやったり。

面倒に負けて挫けないよう、練習の手順には手抜きをした。 元々の教科書は自分の声を録音して間違いを数え成績をつけろという。進捗を調べるためだ。 この採点作業がすごく面倒くさい。なので TED 教材では採点を省いた。 声を出して読めばを詰まる場所、聞き取れない場所はだいたいわかる。その自覚を軸に練習すればいいと割り切った。 手抜きのせいで効率は落ちていると思う。そのへんは根気とのトレードオフ。

採点しないと特定教材を合格とみなし次に進むための基準がはっきりしない。 これも問題だけど、時間を決めて切り上げようと割り切った。 五分くらいのスピーチを前半と後半にわけてシャドウイングし、前半と後半それぞれ二週間練習したら次に進む。 1スピーチ一ヶ月はまあまあ妥当な長さだった。しゃべりの速さにもそこそこついていけるようになり、かわりに飽きはじめる頃合い。

このシャドウイング練習は割と気に入っており、さぼる期間がありつつ今でもぼちぼち続けている。 あとは採点作業を自動化できるテクノロジーがあればなあ。

Anki

anki

数ヶ月続けた末、いよいよ iKnow! に飽きてきた。 コースの構成が初心者向けに偏っており単語の網羅率が心細いのと、 心的負担を下げる引き換えに単語を詰め込む速度が遅い気がする。 あとデータのロードにともなうアプリの遅延もちょっとある。もっとキビキビやりたい。

単語暗記は続けたい。単語を覚えるほど文章を読むのがラクになるのは確かだし、 暗記の作業自体も進捗がわかりやすく達成感がある。

そこで iKnow は 切り上げ、本屋で売っている単語帳を覚えていくことにした。 手始めに DUO とかやってみっか、 みたいなかんじで手を付けたら大学受験にでてきそうな単語すら知らないものが多く、我ながら語彙不足を痛感。 そのあとは構文の本を一冊、そして SVL2 を済ませ、今は SVL3 をやっている。

単語帳のチョイスはだいたい higepon-san を真似している。 ただ iKnow! に飼いならされた私には紙のカードをつかう higepon メソッドを取り込む気力が無かった。やっぱり計算機の力は頼りたい。

ツールを物色してみると、Anki というオープンソース単語帳アプリの評判がよい。 iKnow! と同じ路線、記憶強度に応じた出題頻度をもつ単語帳。 デスクトップ版のほか、あんどろ版 (AnkiDroid) やウェブ版 (AnkiWeb) などがある。 ウェブ版はオープンソースではないけれど、なぜかデスクトップ版やあんどろ版とデータを同期できる。

そこでデスクトップ版 Anki から単語を入力し、暗記作業自体はデータを同期した AnkiDroid を使うことにした。どこでもできる方が便利だからね。 AnkiDroid の UX は昨今のスマホアプリ水準からすると冴えないけれど、 Anki ゆずりの出題順序アルゴリズムがちゃんと動くので文句はない。 ちょっとカスタマイズすればそれほどストレスなく使える。何よりデータがオープンでよい。

AnkiDroid

単語登録に使うデスクトップ版の Anki は一段と UI がへぼく、そのまま使うのは堪えなかった。 行指向の適当なファイルフォーマットをきめて Emacs 上で単語リストを書き、それを CSV に変換してインポート機能経由で登録することにした。

こういう行が:

Nick looks down on anyone who comes from [rural] area.; ニックは地方出身者なら誰であろうと見下している。; p.504

こういう CSV になる:

"ニックは地方出身者なら誰であろうと見下している。<hr />Nick looks down on anyone who comes from <b>*****</b> area.","Nick looks down on anyone who comes from <b>rural</b> area. (p.504)"

カードの表は和文と伏せ字つき英文、裏が正解の英文。 タイポがあったときに備え、出典元単語帳のページ数も書いてある。

世の中にはもっといろいろがんばっている人もいる。 ウェブで見かけた単語をブラウザから Anki に直接登録する なんてのはかっこいいのでそのうち真似したい。

…などと小細工をしたものの、単語の登録作業が面倒なのに変わりはない。かなり苦痛。 単語帳がデータとして手に入るなら10倍の値段でも買うと思う。 というかオープンデータとして単語帳がほしい。 適当なコーパスをもとに頻度順単語リストをつくり、例文と翻訳はウェブ引用と手動クラウドソースの組み合わせで仕立て上げる、 みたいな妄想はみんなしてると思う。税金なり金持ちの道楽なりでやってほしいものですよ・・・。

単語暗記の話にもどると、先人 iKnow! は音声のありがたみを教えてくれた。 Anki を使うときもその感覚を再現すべく、答えの例文は毎度音読している。 自分で読む発音はかなりあやしいけれど、 声を出せば眠くなりにくいし覚えもめでたい。気がする。 空き会議室にもぐりこんでぼそぼそやってる。

NYTimes

Anki とシャドウイングを中心に練習しているうちに TOEIC のリスニングスコアが上限に達してしまった。 シャドウイングでリスニングを鍛えても、もうスコアはあがらない。リーディングを鍛えないといけない。 そこで多読ベースのリーディング練習をしようと決め、いくつかの読み物を試した。

まず仕事のメールを真面目に読もうとしてみた。これはうまくいかなかった。 読む必要のあるメールはすでに真面目に読んでいるし、どうでもいいメールに目を通すほど仕事中はヒマじゃない。 あとメールのスレッドって妙に読みにくいよね。メール読みスキル自体は鍛えた方がいい気もすれど、 リーディングの題材としてはノイズが多すぎた。

次に適当な本を Kindle で買って読んでみた。これもいまいちピンと来ずやめてしまった。 同じ作者、同じ題材の文体を読み続けても訓練としてはマンネリで、 読み進めるほどコンテンツへの理解や適応が進んで飛ばし読みやすくなってしまう。 純粋な読書ならコンテンツに適応するのは良いことだけど、訓練として負荷が下がるのはあまり嬉しくない。

以前から適当なウェブの読み物を Instapaper に溜め込んでいたので、 この積ん読を積極的に消化しようともしてみた。これもいまいちだった。 ブログ系の文章は文体、コンテンツとも玉石混合でハズレが多く、 読んでてむかついたりすると気が散る。そんな駄記事をさっさと打ち切りたい一方、 訓練でスキップばかりしているとリズムが狂う。ズバっと読み通して理解する多読訓練には向かない。 あと自分バイアスにより記事がプログラマ向けばかり。語彙の偏りがきつい。

ただ Instapaper 積ん読業の副作用として商業読み物サイトには少し詳しくなった。 たとえば私の趣味に照らすと nytimes.com の記事はけっこう良い。 試してみるとアプリの出来も良い。 あんどろ版の NYTimes は Instapaper に近い UX でテキストが読みやすく、オフラインでも動く。 そんなわけで NYTimes 電子版を購読し、タブレットで読むことにした。退社前に記事をフェッチし、帰りがてらコーヒー屋に寄って 30 分から一時間くらい記事を読む。 自分の好みに偏らないよう、Top News の一本目は無条件に読むルール。

screenshot

このアプリ新聞読み業は気に入った。体調の都合からカフェインを控えるようになりコーヒー屋通いはやめたけれど、 NYTimes の購読自体はつづけている。ぼちぼち読んでる。

新聞社だけあって、NYTimes はコンテンツも安定している。 まず記事の長さや質が比較的そろっていて、 ろくでもない内容だからと読まずに捨てる必要がすくない。 ヘッドラインから抱いた期待が裏切られにくい。

一方でニュースだけでなく Op-ed みたいのもあるから、 味気ない報道記事ばかりというわけでもない。 トップニュースを二三本読み、戦争と国民皆保険の話でお腹いっぱいなったら Op-Ed を読んで気分転換する、 みたいな読み方をしている。ただ Op-ed 系は書き手の技能がまちまちでハズレもある気がする。 アメリカ人リテラシーがある人は著者名から色々判断できるのだろうと想像している。

そして普段目にしない単語が沢山でてくる。これが一番大切。 ちょうど Anki に登録した例文に見たこともない語が増えており、 これ覚えても意味あるんかな・・・とやる気を失いかけていた。でも新聞記事は話題が広いぶん見慣れない語が多い。 たとえば軍事、政治関係の単語は覚えるだけ無駄だと思っていたけれど、新聞記事にはしょっちゅうでてくる。 文章を通じて未知語に会うプレッシャーと、単語を覚えて文章が読めるようになる喜びを取り戻せた。

新聞がスラスラ読めるまでにはまだだいぶ距離ありそうだけど、 飽きたら雑誌など違うメディアに手を出すかもしれない。 語彙集合はジャンルの広さに比例するだろうしね。

さてリーディングの話。うさんくさい速読の本を何冊か読み、そこに共通する主張は意識している。 目を動かす速さを一定にする、同じ文章を戻って読み直さないなど、訓練モードのときは気にしながら読んでいる。

シャドウイングや単語暗記と違い、文章を読む行為には正誤のフィードバックがない。 ダレて速度や理解度が落ちても気付けないし、練習を通じてうまくなる実感も薄い。 他に良い方法を知らないからやっているけど、訓練としての質はいまいちだと思う。 良い方法が知りたい。せめて記事単位の単語数がわかれば読速を測るんだけどなあ。

それでも二ヶ月続けたらスコアはあがったから何かは鍛えられたようす。 誤差かもしれないけど、体感でも文書を読むのはビミョーに速くなった・・・ような気がする。

活字メディア消費

こういう訓練ぽいのとは別に、普段のひまつぶしメディアも英語に切り替えた。

これは数年前から徐々にやっていた。たとえば Hacker News くらいは眺めていた。 Blog も知り合い以外の日本語 blog はほぼ購読してない。昨年以来、この傾向をもうちょっとアグレッシブに倒してきた。

まず久しぶりに Proggit を見るようになった。 Hacker News は <俺たちスタートアップエリート!> みたいな意識の高さが溢れておりボンクラ会社員は肩身が狭い。 しかも私の勤務先は HN で Microsoft の次に嫌われている。 Proggit はそうしたスタートアップミームが薄く、もうちょっと普通のプログラマっぽい話をしている。 あとハイテクゴシップがないのもよい。たぶんゴシップ系 subreddit と住み分けているおかげ。

Betaworks に買われておしゃれになった Digg. プログラマ向けでないどうでもいい話が読みたいときにひやかす。 Digg Reader 経由で Instapaper に保存できるのも良い。(Feed 読みは Digg Reader つかってます。) どうでもよさレベルはだいたいはてなブックマークトップページくらい。だから純粋な気晴らし向け。 最近は NYTimes に満足しており、あまり見なくなった。 サブカル力を高めたくなったら読み始めるかもしれない。

新鋭ニュースサイト Quartz. 主にクリーンなデザインが好きで、メール購読を併用しつつ眺めていた。Digg 同様 NYTimes 導入によりフェードアウト。 フェードアウト組といえば一時期 BBC を眺めていたこともあった。 アメリカびいきがなかったり解説記事がすごく丁寧だったりとコンテンツはいいんだけど、 ウェブもアプリも UX がいまいち散乱気味。そのせいか段々見なくなった。 活字で読むよりテレビで見ろ、ということかも。

Medium は西海岸ポエムが中心の中央集権型 Blog サービス。 Twitter の @Medium をフォローして、目にとまったときだけ読んでいる。 Digg と比べるとどうでもよさの振幅がすくなめなのが良いといえば良い。コンテンツの多様性がないとも言える。 はやりものなので一応ひやかしているけれど、もうすぐ飽きそう。

ハイテクゴシップ系は Flipboard の Technology セクションをぱらぱら見ている。 The VergeArs Technica も Flipboard で購読。 ハイテクゴシップは Instapaper を経由せず、気になったものはその場でずばっと読むようにしている。 多くの記事はそんなに長くないので、流し読みの練習にはよい。

Hacker NewsProggit は トップページ周辺をつまみ食いするだけにしている。Feed 経由では読んでいない。 購読するには量が多すぎ。

Feed 経由で読んでるのは昔ながらの blog たち。 月に一回ぐらいずばーっとタイトルを眺めて Instapaper に放り込み、気が向いたときに読めるだけ読むかんじ。 熱心に読んでいるとは言えない。

Feed 代替のコンテンツ推薦エンジン Prismatic. パーソナライズして選んだトピックに関する記事が延々と降ってくる。 めちゃめちゃ強力なので一時期熱心に使ってたけど、際限のないコンテンツ量と Filter bubble 的恐怖心に挫け今は見てない。 20 代の体力があったらたぶん毎日見てる。

技術書。とりあえず日本語では買わなくなった。英語だとだいたい電子版があるのはよい。 消化する冊数自体はすくない。この一年はテクニカルな勉強をさぼっていて、 それは英語訓練の対価だとあきらめている。もうちょっとなんとかしたいけどね・・・。

日本語向けにはてなブックマークもちらちら眺めてはいる。 ただメディアの食欲を他で満たせているせいか食指の動きは鈍い。 プログラマ向けのニュースは HN や Proggit から一周遅れたのが届くし、ハイテクゴシップも同じ。 日本語圏固有の面白い話もなくはないけど、まあいいかとおおむね無視している。 割り切ってみると、少なくともプログラマ/ハイテクゴシップ/ガジェット好きとしてのメディア消費は英語だけで気が済むと思う。 政治やサブカルなど日本語で読みたいジャンルもあるとは思うけどね。 たとえばデジカメは日本製がすばらしいので私もデジカメニュースは日本語で読んでる。

音声メディア消費

英語圏はプログラマ向けの音声コンテンツが充実しており、見始めるときりがないくらい量がある。

当初はもっぱら InfoQ の講演やインタビューをよく見ていた。 ここの講演はハイテク企業系からオープンソース・コミュニティ寄りまで幅広く、選択も O’Reilly より鼻が利く感じで気に入っている。 ただサイトの出来がいまいち。特にモバイルで見づらい。YouTube と Podcast に時間を使い始めて以来、足が遠のいている。 YouTube や Vimeo あたりの専業サイトにコンテンツをホストしてくればいいのに。音声データだけ Podcast で配信するとかさ・・・。

YouTube … といってもいろいろあるけど、基本的には 1) 気に入ったチャンネルを購読しておき、たまにざっと眺めて Watch Later に入れるか、 2) ウェブで見かけたコンテンツを Watch Later しておく。で、ダラダラしたい気分の時にタブレットで消化する。

本を読むよりテレビを見る方がラクなのと同じで、慣れてくると Instapaper を消化するより Watch Later を消化するほうがラクになる。 かならずしも中身を聞き取れているわけじゃないし、よく寝落ちもする。そんなやる気のない消費スタイルもテレビっぽさと割り切っている。 まあ私はテレビをもってないので YouTube とタブレットがテレビみたいなもんです。 (愛社精神バイアスがあるのでそのへんは免責してください。)

プログラマむけのチャンネルとユーザをいくつか紹介してみたい。

  • O’Reilly Media : Velocity, Strata, OSCON あたりのカンファレンス動画があってすばらしい。そのほかの動画も多いけど、割とどうでもいい。
  • Google Tech Talk : 最近は外部の人のテックトークは減ってしまいさびしいけれど、検索会社由来テックトークにも面白いやつはある。会社主催の外向けカンファレンスの動画なんかは面白い。最近だと GTAC はよいです。
  • Android Developers : Android オフィシャルな開発者向けチャンネル。最近あんどろ入門したいとおもいつつ挫けているので、せめてビデオくらいは見ようと購読。面白いシリーズをみつけてそれだけ見ると良い。
  • Google Developers : Google I/O 動画など。
  • Airbnb : 一時期よくテックトークをやっていた。最近はトーンダウン。
  • Twitter University 始まって間もない期待の新星。モバイルでクラウドヒャッホイ、みたいな内容。
  • JS Conf : 同名のカンファレンスアカウント。
  • TED : プログラマ関係ないな。最近はあんまし見てない。

今のところウェブでみかけた動画の持ち主を subscribe し、購読リストを育てている。Feed とおなじでそのうち破綻しそうではある。 ほとんどスキップして面白そうなやつだけ見るのも feed と似ている。

つぎ。Podcast … はこないだ書いたようなかんじです。にわかです。 メディア消費のラクさでは Podcast が突出しているため過剰に消化している気はする。 オフライン用にダウンロードを済ませ電車の中で聞けるのは強い。 量が多すぎるため購読しても全部は聞かずつまみ食いが基本。これも feed とおなじ。

そういえば NYTimes アプリも記事に動画がついてることがある。たまに見ている。オバマのスピーチなんかが見られてちょっと楽しい。

自分の音声コンテンツは全体的にテクニカルなのに偏りすぎており、活字ほど幅がないのは気になっている。 ただランダムなコンテンツを見てもぜんぜん聞き取れなかったりするからむずかしい。道は長い。

さぼりと再開とメディア消費

シャドウイングや単語暗記などの訓練系はそれなりにしんどく、結果としてさぼっている期間がけっこうある。 一年前に始めた活動だけれど、やる気を失ったり忙しかったり体調悪かったりで、合計すると一年の 1/3 くらいの期間はさぼっていた。 たださぼり期間後に再開できたのが従来の挫折と今回の違いだと自分では思っている。

再開できた理由の一つは個々の訓練を 30 分スロットの短い単位にとどめ、複数トラックを並列に進めたことだと思う。 さぼり期間後に気を取り直し再開しようと思ったとき、1トラックだけで部分的にはじめることができる。

だいたいはまず単語暗記を再開し、しばらく新しい語は増やさず復習だけやる。 しばらくして体が勉強してもいいモードになってきたら、 新しい単語を流し込んだりシャドウイングなんかの別トレーニングを再開したりする。 段階的に立て直すのは怠け癖と戦いやすい。

さぼるときも、たとえば仕事が忙しいときは昼休みの単語だけさぼる、 みたいに部分的にさぼれるのがよい。完全にやる気を途切れさせずに済む。こともある。 すっかりさぼってる期間もままある・・・。

再開がうまくいったもう一つの理由は、メディア消費を欠かさなかったこと、な気がしている。 私はネット中毒者なので、忙しかろうがやる気がなかろうがメディア消費は続ける。 消費の量は上下すれど、ゼロにはならない。(というか、やる気がないときほどネット巡回ははかどるものです。)

私はメディア消費自体で語学力があがることは<ない>と思っている。 自分のアクションにフィードバックが無いから改善しようがない。 メディア消費はさぼり活動、息抜きだから、intensive に取り組むすることも少ない。 たぶん筋肉と同じで、語学も負荷をかけないと上達はしない。

ただ語学力が下がるのを防ぐ効果はある気がする。少なくとも使ってはいるから。

メディア消費はやる気を取り戻すきっかけにもなる。 あるときふと昔より少しだけ速く文章を読めている自分に気づき、 もうちょっと頑張ろうと気を取り直したり、 逆に podcast 番組が全然聞き取れなくて、練習しないとダメだなと思い直したりする。

そんなかんじでメディア消費にも少しは語学訓練上の意味はあるとおもう。 ただ勉強した気になってしまう嫌いはあるので、それは気をつけないとね。

Next Steps

そんなかんじで無事当初の目標を突破したため、 今後は点数を気にせずしゃべり中心の練習に切り替えていきたい。 ちょうどいまはさぼり期なので、再開にむけてなにをやろうかとぼんやり考えている。

シャドウイングと Anki は継続したい。 シャドウイングは大変なのでうまく頻度を落としたい。一日 15 分くらいでいいかもしれない。 単語は見たこともない単語が増え覚える速度が落ちているので、 挫折しないよう新単語の登場速度を落としてチンタラやりたい。

しゃべる系は、なやみちゅう。 まず発音を今までちゃんと勉強したことがないので、一通りやりたいとおもっている。 “ザジングルス” では断片的すぎて系統的な見通しが立たなかった。 発音の教科書 にはざっと目を通した。 あとはどうやって練習しようかと考えているところ。

短文丸暗記は割と効き目があると伝え聞いている。やるかもしれない。 Anki を使えばラクそう。まずは教材の選定から。

リアルタイム作文技能。世の中で人気の 瞬間英作文 は 良いアイデアに見えるものの、日本語を挟んで考えるのが望ましいのかと疑問もある。 まずは Amazon.com で ESL 系の教材を物色し、良いのがなかったら試すかもしれない。

ところでシャドウイングはさほどしゃべる力に寄与しない気がしている。 イントネーションに慣れたり、英語がずらずら口から出てくる状態を体験する効果はある。 でも作文技能みたいのは身に付かない感触。

メディア消費。活字も音声も、もうちょっと多様性を増やしたい。 活字にはフィクションとかエッセイみたいに文系っぽいやつを入れたい気分。 音声はテクノロジーじゃないニュースとかを聞くべきかもしれない。 ただメディア消費枠はすでにいっぱいなので、なにを削るかが問題。 これはネット/活字中毒者にとって永遠の悩み。 時間をかけてずらせればいい、くらいで真面目には考えてない。

などと色々悩んで入るものの、 大半の訓練はやった手応えに応じた効果はあるので何かしら手を付ければ良い というのがこの一年の感想。挫けないようぼちぼち適当に再開したい所存です。

まとめ

この一年は英語の勉強がんばりました。 でも相変わらず英語しゃべれません。 なのでこれからもしばらくがんばりたいです。 おしまい。


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