2004-07-23

近況

同僚の男達は(仕事で)欧州を目指し, 同僚の女性達は(休暇で)南の島を目指し, 私は(うさばらしに)隣国を目指す, 予定. 先達に "韓定食" を喰ってこいとレクチャーを受けた. 切符を買いに旅行代理店を訪問した結果, 海外旅行の切符は一月以上前に変わないと安いのを買い逃すと学習. 特にこの休みの季節は. 来年はもっと外れた季節にリゾート地へ避難したい.

最近読んだ本

こうしてまとめてみるとえらい少ないな. ここ数ヶ月はマンガばかり読んでいて読書は進まなかった. 下半期はもう少し活字を読みたい.

イグ・ノーベル賞

ノーベル賞のパロディ イグ・ノーベル賞 の紹介本. 受賞内容, 授賞式の進行などを含め, いかにもアメリカン・ジョークという感じ. 紹介されている業績はどれもそれなりに面白いものの, 開催者達が漂わせる無自覚な賢さが鼻についていまいち笑えなかった.

赤毛のアンの秘密

しかし, 皮肉なことに, アンとギルバートの恋愛こそ, テニスンの謳うヴィクトリア朝のロマンティック・ラブの典型であったのだ. アンはテニスンのエレーン姫を風刺することはできても, 近代的な恋愛という感情の精度そのものを風刺することはできなか

った.

アンにとって, 真の欲望の対象は, アンに最初に"精神的"なものを教えてくれながら, 女性としてアンのライバルにされ, その競争では敗者にされ, やがてアンの中で嫌悪すべき凡庸な属性をすべて投影された上で切り捨てられた対象, つまりダイアナその人である.

赤毛のアンはジェンダーへの抵抗と同化のダブルスタンダードであり, だからこそ日本の女性にうけいれられたのだという話. 作者のモンゴメリ自身がそれをよくわかっており, 自分に絶望していたというのには悲しくなる. 徹底した調査に基き進められる議論は抜群の出来.

家守綺譚

-- よく降りますね.

-- ええ, ほんとに.

-- どなたかお迎えですか.

-- ええ.

しかし,次の電車は暫く来ないはずだった. さっきの汽車で降りたのも私の他二名で, 一人には傘の用意があり,もう一人は近くと見えて足早にその先の路地へ消えていった.

-- 汽車が, 来ますか.

-- 来ます.

古びた一軒家で留守番兼居候をする貧乏な主人公をめぐる不思議な出来事, という切り口で話が進む連作短編集. 梨木香歩の持つ "向こう側" への憬れみたいなものが心地良い. 読んでいると静かに生きていこうという気になってくる.

スペシャリストの帽子

"愛と水, なくても平気なのはどっち?"

"なにそれ?"

"つまり, こういうことよ. 愛なしで生きられる? それとも, 水なしで生きられる?"

"どうして両方あったらだめなの?"

短編集. 帯で柴田元幸が絶賛していたので読んでみる. よかった. が, どう良かったは言語化に困る. 表題作は夜のそわそわした感じ. カーネーション・リリー・リリー・ローズは こんなの. とは関係なさそうな内容. 響きがいい. 花, 花, ピーピー草, 花, とも関係なさそう. 謝辞によると小島真由美が好きらしいなど, なんとなく全体に気になる作家.

現代詩の鑑賞

良い詩集はないかと探すべく, 大岡信を信頼して.

新川和江詩集

信じていなさい

おまえののどとくちびるの温かさを

おまえが <あ> と言う時

どこかの暗い沼のふちの

葦のあいだで

澱んだ水が

<あ>

一万年にたったいちどの水泡を立てて独り言を洩らすと

"わたしを束ねないで" の他, "母音" もフルエル. 詩集 "比喩でなく" が欲しい. 古本マーケットでそれなりに高値なようす...

言語を生みだす本能

面白かったけど情報量が多くてつかれた. 言語系は面白いな.

最近挫けた本

最近はうっかり衝動買いをしてハズレを引くことが多い. 書評チェックを怠っているのが敗因.

情報デザイン入門

買ってから興味のないことに気付く.

聖なる文字ヒエログリフ

文章の構成があまりに irrelevant で読む気を失う. 話題は良さそうなのに...