2004-11-09

近況

2-hop の後輩 D が特命により空港からとばされていったまま一週間がたつ. 街の光電装飾をみると暦を錯覚し, 彼は(恋人のまつ)日本で年末を迎えられるのだろうかと他人事ながら心配になる. 幸い法的な理由でそれは保障されている, らしい. またとぶことがないならば.

それにしても, 彼はつい最近とばされたばかりの気がする. 帰宅も遅く, 割と辛そう. 優秀なエンジニアではあるが, ずば抜けて優秀というわけではない. 優秀な人材に仕事が集まるのはよくあることとはいえ, 彼の過労は能力の割に合っていないように見える. なぜかしら? と同僚と話し, 局所性が関係しているようだ というところで雑談は timeout した.

プロジェクトと計算機

さて, 主記憶と局所性の関係を思いだそう. 主記憶の利用には局所性があり, その洞察からキャッシュ機構が生まれた. 優秀な人材の忙しさはこの比喩で説明がつく. 彼らをキャッシュ, low-latency なメモリだと考えればいい. プロジェクトはそのキャッシュ氏を頻繁に利用することで効率化される. この比喩の延長でいくと デス・マーチ はある種のバグをもつプログラムのようなものだ言えそう. どんどん資源を食いつくす. D は運悪くその過程に巻き込まれてしまった. つまりアロケートされた. デス・マーチ(の責任者)は 引き継ぎ という serialize/deserialize のコストを許容できないから, D はそのままページインを続ける羽目になる. 時には休暇もなしに ... こうなったらスラッシングの嵐を耐え, クラッシュやインタラプトを待つほかない.

なんて書いていて, デス・マーチ遅延の比喩としてスラッシングは悪くない気がしてきた. コミニュケーションコストの増大(=局所性の分散)の他に, 個人の能力差も示唆できる. (二次記憶な人を増やしてもカリカリ言うだけ.) それにしてもスラッシング以前に仮想記憶相当の何かはちゃんと機能しているのかな. 比喩に従うと, 会社の組織構成なんて古のメモリマップみたいだ. いや, これは専用 DSP なんだと信じよう... 日本の得意分野らしいし... (なお, 彼は主記憶にたえうる実力者だと D の名誉のために付記. ページアウト組でいこうねーと笑っていた私達をゆるしておくれ.)

最近読んだ本 : ジョン・レノン対火星人 (高橋源一郎)

ポルノグラフィーしか書けないからって泣くんじゃない. "偉大なポルノグラフィー" を書けばいいのさ

デビュー作. 文庫になったので着手. 高橋源一郎は一見無茶苦茶かつ泥臭いようで実はおしゃれ(文学ビューでは)なメタ・フィクションの人, という印象で, "さようなら, ギャング達" や "日本文学盛衰史" はそんな感じだった. これは本当に無茶苦茶. それでもところどころ強く頷きたくなる文章をみつけたりする. でもやっぱり全体としてはさっぱりわけがわからなくておもしろい. こういうのを読みとくのは文学部の人の仕事だということで納得しておくことに.