2005-04-13

近況

また欠勤. 理由はわかっているが, 解決できないこともわかっている. だましだましやっていくしかない. ドロップアウトしないためには. ドロップアウトして困る理由もないが, 恐怖はある.

そうして一日ひたすら寝てすごした. 非生産的. 最近読んだ本をまとめておくくらいはやっておこう...

最近読んだ本: 容疑者の夜行列車

"エクソフォニー" のカウンターパート. パリヘ, ウィーンへ, アムステルムへ, 主人公は夜行にのり, 次の国を目指す. 旅慣れた主人公に, 旅行記特有の青臭さはなく, むしろ徒労感, けだるさのようなものが漂う. それが心地良い. "あなた" という特徴的な一人称の仕掛けは, 物語の最後で明らかになる.

最近読んだ本: ヒナギクのお茶の場合

そう言えば, 似たような話を小説で読んだことがある. あと三日の辛抱で解放されるとわかっているのに自殺してしまった男の話. ひょっとしたら自殺ではなかったかもしれない. 逃亡だったかもしれない. ずっと前に読んだ物語の筋があやふやになると, わたしはすぐに主人公が自殺したのだと決めてしまう.

多和田葉子もう一冊. 短編集. 表題作をはじめ, 何か変. 物語の筋書が変なものもあるし, 主人公の考えていることが変なものもある. うまく波長があうと おおっ となるし, あわないものはよくわからないまま終わる.

最近読んだ本: キッドナップ・ツアー

「どこにいくの」

「電話してくる。おかあさんに」

「なんで?」

「だからあんたをユウカイしたって。それに、条件を言わなきゃならないだろ」

「条件」

「かえしてほしかったら何々しろとか、そういうことだよ」

行方知らずだったダメ父親が娘を連れて誘拐旅行をする, という話. おおよそ想像どおりに事はすすむが, ベタになりすぎない匙加減が角田光代のうまさか. 巻末にある重松清の解説が見事. この人は小説も悪くないけど, なにより小説読みとして一流だな.

最近読んだ本: ノンデザイナーズ・デザインブック

コントラスト, 整列, 反復, 近接 という四つのキーワードをテーマに, 素人にもできるデザインの改良案を示す. ありがちなデザインがこの原則に従って改良される例がいくつも載っていて説得力がある.

ソースコードのレイアウト

私は

int a;

double b;

より

int a;

double b;

とインデントを揃えて書くのを好むけれど, これは一般に良くないとされる. というのは型の違う変数を増やした時

int a;

double b;

foo_bar_t c;

のようにインデントを揃えなおさなければならず, これは diff を破壊するし面倒だから. しかし一方で "整列" の原則に倣うなら変数名を縦に揃えるのは望ましい.

このように, ソースコードの可読性は環境の制約, プレインテキストであるということ, に大きく制約されている. 組版ソフトのような環境でコードを書くことができたら, 重要なコードのスコープを赤い枠で囲ったり付箋紙風にコメントをつけたりしてソースコードのミタメ=可読性はずっと向上すると思う. 単語本来の意味に立ち戻るなら, テキスト "エディタ" がそういう方向に進化しても不思議はない. Intentional Programming は似たようなアイデアだった気がする. 今はどうなっているのだろう.