2004-11-06

近況

ひさしぶりに立ち寄った国分寺の空は広かった. こんな空を見ると何も無いのが良いことに思えてくる. 智恵子も文句は言えまいと. 高校生の頃まで住んでいたこの西国分寺は, 今おもえば畑と民家ばかりの田舎であったのだなあ. そうして何も無いことに疑問もなかった. 同級生達はきっとそこに疑問や不満をもち都会を目指したんだろう. (近いしね.)

ひきこもり高校生の私にとって吉祥寺は大都会, 新宿渋谷は異国の地だった. いま住むここはいわば地の果て. 隅田川を下って盤の縁に至り, 暗闇へ溢れゆく水を見下ろす屋形船ツアーがあったら楽しいに違いない.

猫と歌

bloglines 巡回は早くも停滞. Web 巡回は体力と気力がないと続けられない. たまに元気だとそういうことを忘れて色々やりすぎてしまう. また元気になったらやろう.

元気がなくても知り合いのページと 枡野浩一のかんたん短歌blog は見る. 歌人の枡野浩一が示したお題に従って アマチュア歌人達 が trackback で歌を投稿する企画サイト. なかなか面白い. 短歌雑誌なんかはあまりに渋い歌が多くて読む気にならないけど, このマスノという歌人とその周辺は lightweight な歌を好んでよむため, 素人でも楽しめる.

前回は "恋" というベタなお題だったためか, 多くの歌があつまっていた. 面白そうなのでページで選ばれた歌以外の trackback もひととおり眺めてみる. 玉石混合. (石の割合多し.) 石の歌とは...引用するのは気がひけるから傾向を挙げると, たとえばモラリストっぽいもの. モラルに縛られていたら恋なんてできないぜと息まきながら自分がインモラルな恋という別の縛りを設けているのに無自覚だったりするとかっこわるい. 全体に似たような説教くささが多いのはこのお題の特徴かも.

あとは感傷の甘味が強すぎるものも頂けない. ただでさえベタな題なので手に負えなくなる. 強すぎると困るのは自意識もそう. カタカナでボクとかワタシなんて書くともうそれだけでへっぽこになってしまう. 一人称を鼻につかないよう使うのは難しい.

とはいえ感傷も自意識もバランスが肝要で, それがピタリときている歌には惹かれる. 眺めていて一番よかったのはこの歌.

もう恋ができないようにした猫と暮らしています 元気でいます (英田柚有子)

(URL.) 他にもいいのはあったけどこれは抜群にいい. 選者もこれを推していたから, 自分の歌を見る目もそこそこかもなど思うものの, どこが良いのかぱっと説明できないのが淋しいなあ. なんというか, 最初は猫とひだまりで過ごす日々のように穏やかな印象を受けるのだけれど, これが別れた相手に宛ててよまれたのだと気付き俄かに陰が射す. でもやはり猫はそばにいる. そんな肌ざわりが好きなのです.